工場見学のレポートです。
ケガキ機械を納品後に工場を見させていただきました。 とにかく“目からウロコ”でした。 従業員が20名位の企業で、藤木社長が船の設計(ライン図等すべて)をされ、間接の3名が原寸で部品にバラして、 (もちろん船の曲面 外板展開も全部されます)後は現場の方で船を丸ごと一隻作ってしまいます。 とにかく、小人数でこれだけ曲面だらけの船を設計から現図・製作・試運転まで全部やってしまうのは本当に驚きでした。
ヤ...ヤマト??? 初めて見た素人の私にはそんな印象を持ちました。漁船と聞いていたのにあまりに大きいので 何かの客船ですか?と聞きましたが、この船は北海道のオホーツク海でホタテ漁をされる漁師さんの船との事です。
,http://gdata.youtube.com/feeds/api/videos/yUi-7Hm4xEo,standard,{"playerWidth":"1024","useCustom":true,"autoPlay":false,"autoLoop":true,"autoNext":false,"quality":"default","qualityName":"自動"} 船の中です。中も全部アルミで製作するのですね?とビックリしていたら、当たり前だ!と社長に言われました。 手前では水を掛けながら火であぶってひずみを取っておられる作業をしておられます。 まさか建造中の船の中に入れてもらえるとは思えず、とても感動しました。
どこを見ても曲面ですが、一枚一枚の部材は平らなアルミ板から出来ています。板を曲げた状態で外面に当てるとピッタリと合う 外板の展開技術にはホント恐れ入ります。 漁船の世界で曲面を多用する船型は珍しいとの事ですが、研究と試行の過程で必然的に 船の形が曲面を多用する物になったそうです。 実際に顧客(漁師の方々)からも足が速くて燃費が良いと評判も上々との事です。
船にあるこの突起した部分は一体何の為にあるんだろう?と思って聞いてみると、と言って、突起物の部分で あらかじめ先に波を起こし、その後 船本体が通過して起こす波とが互いに打ち消し合う事で、結果的に波が小さくなりスピードの アップや燃費の向上を図ることが出来るそうです。なんだか難しそうな話ですが、奥がとても深そうで本当ロマンを感じますね。
正面から船底の写真です。”美しい”の一言ですね。曲線ラインのちょっとした違いでスピードが上がったり、 燃費が良くなったり、波の受ける衝撃を和らげたりするのだそうです。 藤木社長の頭の中はノウハウの 塊で、話を聞いても一度では理解できませんでしたが、ものづくりの極みがここにあると感じました。 実際に船に乗ったり、港で走っている船を見ていると、どのラインが良いか悪いか分かるようになるそうです。
従業員の方に聞いた話なのですが、全く同じ型の船を受注した時でも、「更に良い物を…」と社長が設計に 加筆されるので、「同じ型の船を受けたのに同じ物が二度とない。(汗...)」と苦笑いしておられました。
以上 株式会社ケーヤード様に工場を見学をさせていただきました。 藤木社長は、自社の事だけではなく全国の若き造船マンを応援され 業界自体の底上げを願っておられます。 技術面では既に業界でも有名な方ですが、精神面もとても素晴らしい方です。 若き造船を志される方は、日本で一番 最北東端の町 根室市の花崎港に行って是非一度、藤木社長に会ってみて下さい。きっと、今よりも一回りも二回りも 大きな人間に成長する事が出来ると思いますよ。 |